荒さが目立つが好きな作品~FF13評価感想~

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今さらプレイしたわけ

FF13はネットだと問題作扱いを受けている作品である。なぜやろうと思ったのかというと、1つは私があまのじゃくで変な噂のあるゲームばかりやりたがる性質の人間だからということと、もう1つは主人公ライトニングのことはネット二次創作の「ライトニングさん」で知っていたから。有名作品ではあるし、せっかくだから元ネタをやっておこうと思った。Amazonの中古で300円くらいだったし。

豊富な戦略と緊張感のある画期的バトル

FF13で最も評価する点を選べと言われたら「バトルの新規性」を挙げる。

FF13では各キャラクターが複数ジョブを持っていて、それらを状況に応じて切り替えながら戦う。大抵のRPGだと1キャラ1ジョブしかできず組み合わせや育成の幅は限定的になるが、FF13では戦術が多彩かつ戦闘中にジョブを切り替えながら戦うのは面白かった。各ジョブにポイントを振って育てる形式なので、どのような育成方針にするかもプレイヤー次第。

また、特徴的なシステムとして「ブレイク」があり、相手にブラスター攻撃をし続けると敵がブレイクして防御力が大きく下がる。基本戦術は相手の隙を伺いながら集中攻撃でブレイクに持ち込み、一気にたたみ掛けるというもの。ブレイクしないとほとんどダメージが通らないので、RPGの難敵攻略でありがちな耐久戦術ができないようになっている。守るべきときは守備に徹し、チャンスになれば一気に攻撃に転じる大胆なバトルになる。

そして、魔法やスキルの使用にMPが要らず、HPも戦闘終了後に全回復する。MPをけちけちしながら旅する必要性がない。せっかく新技を覚えてもMP消費が重すぎてロクに使えない……ということがないのは嬉しい。

バトルルールは画期的だったが難しすぎた

ここまではバトルの良い点を述べてきた。ただ悪い点もある。いや、バトルを複雑化させた弊害というべきか。

全てのバトルが難しい。ザコ敵ですら勝ちパターンをしっかり意識しないと全滅させられてしまう。ソシャゲで例えるとよくわかると思うのだが、ソシャゲのイベントでは特定のステージ周回するのに特化した編成を組むと思う。それをザコ敵ごとに毎回やらされる感じである。

ザコ敵1匹倒すのに苦労するのでレベル上げといったら大変な苦労だった。ボスは難しくて構わないと思うが、ザコ敵はもっとサクサク倒せてよかったんじゃないか?と思う。

1本道マップはそれほど気にはならなかった

ネットでFF13とセットでよく言われているのが「1本道マップがクソ」だと思うのだが、個人的には気にならなかった。というのもバトルのボリュームが重すぎて探索要素があったところでやる気にならないだろうから。仮に全部盛りだったら途中離脱率がとんでもないことになっていたと思う。

おそらく最初からバトルが中心のゲームとして企画されていて、バトルのボリュームを増やした結果、それ以外の要素を削ることになったのだろう。開発者はRPG慣れしたバトル好きのプレイヤーを想定していたが、実際に買った人たちはバトルよりも探索をやりたい層で、ギャップが起こってしまった。その結果一本道批判が起こったのではないか。

青臭いセリフと希望にあふれたシナリオ

シナリオははっきり言うと「青臭い」。ライトニング一行はデザインこそ洗練されてスタイリッシュな印象だが、困難を熱血パワーで突破する。特に終盤は熱血具合に拍車がかかるので、精緻なプロットや淡泊な描写を好む人は肩透かしを食らうと思う。

細かいところをゆで理論ばりのガバガバ熱血パワーで強行突破してくるのが不評なのだと思うが、大筋の物語はよくできている。

ライトニングたちは超常の存在「ファルシ」によって一方的に使命を与えられ、「ルシ」にされてしまう。ルシになった人間は使命を果たせないとゾンビになり、使命を果たしても植物人間になってしまう。

勇者とは神から与えられた運命の奴隷なのではないか―

今までのRPGのお約束に対して、疑問を投げかけているのだと私は思った。ライトニングたちは与えられた運命に悩み、ぶつかり合い、それでも生きるために抗い続ける。

過酷すぎる運命の前に一度は絶望して、仲違いしていた仲間たちが結束していくのは良いシーンだったと思う。そして仲間と共に運命を乗り越えて奇跡を起こす。人は与えられた運命の前に立ち向かい、前を向き続けることで未来を切り拓けるのだというメッセージを感じた。発売の前年にリーマンショックが起こって色々な人の生活がぶっ壊れたことを考えると、2000年代末の状況を感じさせるメッセージだよなあ。

姉妹作のFF15のノクティスが変えることのできない運命に殉じて死んでいったのと比べたらはるかに救いがある。

尺が足りなかったのか?細部のガバと尺配分の問題

細部を熱血理論で突破してくるのは先ほど申し上げた通りなのだが、これは尺が足りなくなったんじゃないかと思っている。序盤~中盤に割いたリソースと物語を畳むためのリソースが釣り合ってない。メインキャラクターが6人もいるせいで、その境遇を描くことに尺を割きすぎたのかなと。

正直、グランパルス組がライトニングの出番を食っていたので、尺が変えられないなら仲間1人少なくてよかったと思う。続編のFF13-2ではメインがセラとノエルの2人に減るので、私と同じことを考えた人が当時のチーム内にいたのかなあ。

FF13-2をクリアしたので追記

多分FF13を作っている最中からFF13-2の制作は決まっていた?

13で説明しなかったことは13-2で説明されるのだが、これはあえて13で全てを説明せずに謎を残して続編につなげたかったからわざとそうした、と考えた方が腑に落ちると気づいた。

最初から三部作で完結する物語だと言ってたら、評価は大分違かったと思う。予告なしに中途半端に終わらせたらそりゃあ評判悪くなるよなと思った。

総括

ガバガバな部分も多々あったけど、バトルルールの完成度の高さもあって、私は好きな作品です。

あとライトニングは好き。序盤やたら不機嫌だから第一印象最悪なんだけど、あれは妹が植物人間になって気が動転してるからだし、不器用だしで色々損してる人。

音楽もすごくいい。『閃光』と『サンレス水郷』が特に良い。