考えるな、感じろ/燃えよドラゴン

今更『燃えよドラゴン』を観た話

こんにちは。Amazonプライムの「もうすぐ無料配信終了の映画」に『燃えよドラゴン』があったので観た話です。

 

燃えよドラゴン』はブルース・リーの代表作です。ブルース・リーというと黄色いつなぎの格好を思い浮かべがちですが、アレは『死亡遊戯』という別の作品です。

自分の生まれる前の作品(1973年)ですが、当然名前は知ってたのでそのうち見ようと思っていたものの、観る機会がなかったんですよ。今観ないといけない理由がないと「また今度でいいか」で済ませちゃうもんです。

 

あらすじ

少林寺拳法の達人、リーは諜報機関からミスター・ハンの内偵を依頼される。ハンは少林寺拳法の達人だが、数々の犯罪に手を染めた悪人である。しかし、その証拠は巧妙に隠蔽されており、警察は手出しすることができない。逮捕に踏み切る証拠を得るためにリーはハンの主催する武術大会に参加する。

 

巧みな音響のダイナミズム

印象的なあのテーマを含め、映画中のほとんどはBGMが流れ続けているのですが、どれも素晴らしい出来で観客の臨場感を高めてくれます。反対にミスター・ハンが登場するシーンではBGMが一切止み、静寂からプレッシャーがビリビリと伝わってきます。

効果音についても言及すると、冷静に考えれば人を殴ったところでバキッ!とか派手なSEが鳴るワケはないのですが、リアルなだけじゃ結局つまらないですからね。

 

"考えるな、感じろ"

有名なこのフレーズは佳境の決め台詞なのかと勘違いしていました。実は開始10分程度の序盤で弟子に稽古をつけているときの台詞です。

原文は

"Don't think, feel. It is like a finger pointing away to the moon. Don’t consentrate on the finger, or you will miss all that heavenly glory."

です。

多分「自分の技の出来の巧拙ばかり考えていると、相手を倒すという本来の目的を見失ってしまうぞ」と言いたいんだと思います。

別に「感情に任せて拳を叩きこめ」とかいう熱血脳筋理論なワケではないんですね。むしろfeelは「感情」ではなく「直感」と捉える方がふさわしいのかもしれません。余談ですが、伊東一刀斎という実在の剣豪は徹底的な反復練習によって反射的に技を繰り出す無想の剣を編み出しました。これも発想の源は近いところにあるのではないでしょうか。

 

テンポの良さ

恥ずかしながら自分は集中力がなくて、100分以上椅子に座って静かに鑑賞するのが苦手です。大抵は途中で止めて休憩してから後半を観ます。

燃えよドラゴン』はバトルアクション物なのでダレるポイントが出てくるだろうなと思っていました。しかし、一度も止めることなく見終えることができました。間違いなくバトルばっかりしている映画なのに不思議とテンポが良く、コミカルな笑いを取るシーンやお色気シーン、ホラーな描写などが挿まれているので飽きが来ませんでした。ジ○ラシック○ールドではどうでもいい恋愛シーンが長すぎてイライラしましたが、そういった余談シーンのバランスが取れていてメインを損ねないようになっていました。これは個人的に高評価でした。

 

ブルース・リーの映画を観たことない方はこの機会に観てはいかがでしょうか。特に姉の仇を討ったときの激しい怒りと悲しみが混ざったあの顔はブルース・リーにしかできない表情だと思いました。

以上、ありがとうございました。