プレイ感想/戦場のヴァルキュリア4
―あの日のぼくらは、命を懸けうるものがあると、信じていた。それがどんな代償を払うものか、知りもしないで。―
今回は『戦場のヴァルキュリア4』の感想です。このゲームは架空の戦争の新人士官であるクロード・ウォレスと彼の部隊「E小隊」の戦いを描いた作品。
ゲームシステムはFPSと戦略SLGを組み合わせた感じ……と言ってもわからないと思うので公式の紹介動画をご覧ください。
クリアした時のスクショがこれ。
戦場のヴァルキュリア4クリア。43時間になってるけど、めちゃくちゃリセットしたから実時間は60時間くらいいってる #PS4share pic.twitter.com/9TABEpxV2x
— 近江結 (@o3ugensou) 2019年12月25日
キャプションの通り、めちゃくちゃリセットしてます。1回目は負け前提で敵の配置、増援の有無、勝敗条件を頭に入れる。それをもとに進軍計画を立てて2回目勝ちにいく。そういう手間のかかるゲームなので好き嫌いは分かれるかもしれませんね。
※ここから下はネタバレあり
GOOD POINT
・完成されたゲームシステム
アクション性と戦略SLGを組み合わせた「BLITZ」は本当に完成されたシステム。SLGをやっていると煮詰まりすぎて間延びする欠点がある一方、アクションゲームは手先の操作の上手さ(もしくは強い技の単調なゴリ押し)になりやすい。その両方を軽減してくれるので戦略ゲーとしてはテンポよく、アクションゲーとしては戦略性に満ちたゲームに感じられる。
・「戦争の悲惨さ」から逃げなかったこと
これは完全に持論ですが、わざわざ戦争を題材にするならば人間の狂気や悲惨さを描かなければいけないと思う。ヒロイックで気持ちのいい話だけじゃダメ。たとえば『フルメタル・ジャケット』でジョーカーが苦悶の表情を浮かべながら少女を×すシーンみたいなカットが必要だと思うんだよな。
まあ「戦ヴァル」は萌え要素の強いキャラゲーだから期待してなかったけど、「その制約の中でも悲惨さを描くことからは逃げないぞ」という意思を感じた。
特に取り上げて言うとラズが出撃するシーン。
終盤、誰かが捨て石になって道を作らなければ全滅になる局面に追い込まれてしまう。クロードは自分で考えた捨て石作戦を「狂っている」と撤回するが、時間的猶予がない中で事態を打開できる作戦はそれしかないことはその場の誰もがわかっていた。ラズは自ら出撃を志願し、クロードは涙を流しながら出撃を指示する。しかし、出撃する隊員は2名で、もう1人はプレイヤーが選ぶことになる。
「随伴隊員をプレイヤーの手で選ばせる」仕組みがクロードの心境を追体験させるいい工夫だと思った。これは映画じゃできないこと。ゲームだからできる体験。
・装備管理の簡略さ
SLGやDRPGなどは煩わしい装備管理を迫られる場合が多い。それが面白いっちゃ面白いんだけど、不快に感じる時もある。それを簡略化してゲームのテンポを速めていたのはよかった。
BAD POINT
・描写の不足
出演するキャラクターの数が多いので尺が足りない、という事情はあるかと思うがカイ(兄)の過去描写は尺を割いて頑張ってほしかった。重要キャラなのに描写が少なすぎた。プレイヤー目線で本当はどういう人なのかわからないまま進んでるのに「兄さんは変わってしまった」とか言われてもね。
・装備開発周りのUIが悪い
1. 開発可能な装備がある場合は「開発可能な装備があります」とバナーを出すなりして通知してほしい。何も目印になるものがないので毎回わざわざ見に行くはめになる。
2.兵器開発は何回も連続して行う場合が非常に多いのに、1回開発を行うごとにメッセージポップアップが入る。セリフが毎回変わるならともかく、同じセリフを何百回も聞かせる必要性はないと思う。
・一部のユニット(ミネルバ)が強すぎ
相手の陣地を取ればクリアになるマップが多い都合上、進軍ルートの邪魔になる敵を突撃兵や戦車で倒して機動力の高い偵察兵で陣地を取りに行くのが基本戦術になる。偵察兵は機動力や索敵に優れる一方戦闘能力は低いはずなのだが……。
ミネルバが群を抜いた射撃精度とHP回復のポテンシャルに加えて、行動手番を増やすポテンシャルを持っており、デフォルトでリーダー扱いなので毎ターン手番+1回。入れない理由がなさすぎる。ポテンシャル強いんだし射撃能力は並くらいでよかったと思う。
おわりに
非常に完成度の高いシステムとシビアなストーリーが持ち味の良作になっていたと思う。足りない点もまああるが、全体として見ればまとまっていた。
ネット上だとストーリーが不評らしい?が俺は好き。
ファンタジー色が薄いのは「ヴァルキュリア」っぽくはないけど、クロードたちはヴァルキュリアが戦場で利用されていくことを否定したい立場なわけだし、アンジェを最前線に立たせるわけにはいかなかったよね。
戦場でイチャコラするなってのは兵器として扱われてきたヴァルキュリア人にも幸せになる権利がある!って表現なので妥当なんじゃない?(自分はギャルゲーファンなので偏った意見だとは思う)
ラズとカイ(リナ)に関しては壮絶な運命が待ち受けているんだから大目にみてあげたら。ラズは故郷にも帰れず冷たい氷の上で1人死んでいくし、カイは幼馴染兼恋人と兄を喪い、アンジェを守るためにこれからの生涯を捧げるんだから。十分すぎるほど罰を受けたんじゃないか?
長くなりましたが、PS4のほかSwitchでも遊べるので興味があれば遊んでみてはいかがでしょうか。読んでいただき、ありがとうございました。