教習所を卒業した話

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教習所を卒業した話

この度自動車教習所を卒業したのでその話を書きます。

そもそも教習所に行くことになったわけ

 前から自分は自動車に興味がなくて、この歳(22)まで教習所に行かなかった。大学に入った後親から教習所の費用は出してやると言われていたのだが、何かと理由をつけて(学業・サークルが忙しいなど)行こうとしなかった。

 正直に言えば、行こうと思えば行けるだけの暇はあったのだが、車がないと困るというような状況にならなかったので、めんどくさがって先延ばしにしてきたのである

 免許証には運転が可能になるという機能の他に信用度の高い身分証明書として使える機能がある。これに関しては学生時代の間は学生証という強力な代用品があったので特に必要性を感じていなかった。

 しかし、卒業を控えてその後を考えると、まともな身分証を取っておく必要性が具体性を帯びて想像できるようになってきた。また、4年の冬休みが集中的に教習所に通うことのできるおそらく最後のチャンスになるだろうことも大きな動機になった。

 だが、自分のように卒業ギリギリまで免許取得を先送りにするバカは滅多におらず、1人で免許合宿に行っても虚無感に襲われるだけだと思ったので実家近くの教習所に通うことにした。

第一段階、車の運転のどこが簡単なんだ

 卒論を提出した後の文系大学生は基本的に暇である。試験も2つしかなかったので冬休みに先んじて1月中旬から教習所に通いはじめた。

 元々自動車に興味ゼロな上に仕事で自動車を使わないことがわかりきっているため、ノータイムでAT限定にした。AT煽りをしてくる人種の存在は知っていたが、この際そんなことはどうでもよい。こっちは運転許可付き身分証明書が欲しいだけなのだから。目標まで最短距離で突っ走ってさっさと終わらせたいのだ。

 知らない人のために一応説明しておくと、自動車の教習は二段階に分かれている。教習所内のコースで練習する一段階と実際の道路で練習する二段階である。そして、各段階の運転の練習に合わせて座学での講義も受けなければならない。

 学科教習ははっきり言って教科書読めばわかるような内容しかないので、特に苦労はなかった。こんなのDVD配って映像授業受けるのでいいだろうと思いながら受講していた。教習所側にとっては人件費の無駄だし、我々受講生も決められた時間に教習所に行かなければならないのは大変不便である。

 その半面、技能教習には苦戦を強いられた。正直な話、世の中自分よりバカな不良でも運転しているんだから大したことはないとタカを括っていた。だが、自分は根本的に空間認識能力が鈍いということをすっかり忘れていたのであった。

 思えば小中高と球技が壊滅的にダメで、得意な分野はマラソン、器械体操、水泳、柔道、剣道と遠近感を測る能力の要らないものだった。

 これが自動車運転だと「車体感覚がわからない」という面で出てくる。具体的に言うと、視覚で見えてない部分の距離感が掴めてないので、左折で引っ掛けたり、後退関連全般がド下手だった。特に二段階の縦列駐車は最後まで成功率6割くらいだった。

 ここらへんで危機感を持ちはじめる。さっさと卒業したいのに足踏みしている場合ではない。そのくせ指導員の説明はおおざっぱでわかりにくい上に、人によって言うことが変わる。

 なので結局Youtubeで教習動画を見て予習していた。指導員の話聞くより、動画投稿者の説明の方が分かりやすい。何回でも再生できるし。
 人の何倍も予習しているので当たり前だが第一段階の技能試験は難なく合格できた。クランク・S字も一発だったので苦手の切り返しをしなくて済んだ。

 さすがに試験不合格になった場合の再試験料・補習料は自腹なので高校生とは必死さのレベルが違う
(ここでクランクが上手くいきすぎて後退を練習しなかったのは、後に縦列で苦しむ伏線であった)

第二段階、制限速度守れやクソ共が

 第二段階の初回は予約票を見ると「場内」と書いてあったので、最初は教習所のコースで第一段階のおさらいをしてから次回路上なのだと思っていた。

 というのも仮免試験合格後、繁忙期で2週間予約が取れず、練習できればいいと思っていたのだ。だがいざ教習が始まると、エンジンルームの点検の後即路上に。

 始めて実際の道路を走ると対向車との距離が異様に狭く感じるので怖い。教習所のコースでは滅多に対向車とすれ違わないし、道も広くて速度もせいぜい20~30km/hである。それが道端狭い・対向車60kmというレベル差のありすぎる環境に突如放り込まれる。

 しかもこっちは習った通りに40km制限の道を40kmで走っているのに前車にどんどん離されていく。指導員が「交通の流れを乱さないように前車について行って」と言うので合わせて走ったら「一般車と同じ走り方したら(速度違反で)捕まるよ?」だと?お前さっき自分で何て言った???
 恐怖体験終了後は手汗でハンドルびしょびしょだった。次の時間だった人には申し訳ないことをした。

 人間というのは不思議なものであれだけ本能が拒絶していたのに数時間も乗ると40~60km/hという速度に慣れてくる。実のところ第一段階でやったクランクS字のような狭い道は一般道では滅多に見ない。なので運転自体の難易度は一般道を走る方が簡単なのだ。

 案外いけるやん?と思いながら走っていると、対向車線に渋滞。こういった状況は右側の歩道の様子が見づらいので歩行者を見落とす典型的パターンである。当時はそこまで気を配れる程上達していたわけではないので運転に集中していたが。

 するとテンプレのように自転車ジジイが飛び出してきて急ブレーキ。指導員が先にブレーキ踏んでたから間に合ってたけど、下手したらキルレ1.0になってたわ
 その後の路上は特に問題なく終わったのだが、縦列駐車が全然できなかった。方向転換は問題ないのだが、縦列駐車だけ言われた通りにやっても左後輪を引っ掛けてしまう。これは右ハンドルを切るタイミングが遅れているためにそうなるのだが、どうもおかしい。そこで言われた目印をガン無視してハンドル切ったら上手くいった。?????

卒業検定、ガバ連発!

 卒業検定は路上+方向転換or縦列の総得点で合否が決まるのだが、先述の通り縦列の再現性が低いので方向転換が出題されるのを期待していた。が、指定は縦列。マジ?
 とりあえず縦列でミスるのはほぼ確実なので路上で余計な失点をするわけにはいかない。みきわめ時に右左折での減速が足りないと注意されたので、交差点手前では細心の注意を払って減速を心がけた。

 のだが、直進するべき信号がかなりきわどいタイミングで黄色になった。さすがに突っ込むレベルではないと判断しブレーキを踏んだのだが、予想以上に急ブレーキになってしまった。これが急ブレーキ判定だと-20点。シャレにならない。この時点で縦列1ミス以内がマストになってしまった
 場内に帰ってきて、必要以上に神経質に幅寄せしてから縦列に挑戦。予定通り教習所のプリントに書いてあった目印を無視してハンドルを切る。結果......一発成功!なんで?????
 後は乗車地点に戻って路駐、降車手順するだけである。しかし、縦列に全集中力を注ぎ込んだためか、路駐時の左合図を忘れる。エンジン切るときに気づく。アホ。
 それでも結果は合格だったので急ブレーキ判定なかったのかもしれない。謎。今縦列やらされたら多分できない。

 本免学科も問題なく通過し、終わってみれば全ての試験を一発通過だったわけなのだが、3月中に終わらせないと仕事が始まってしまうプレッシャーとの戦いだったので心理的には全然余裕でもなかった。とはいえ学生最後の休みで資格取れたのはコロナ覚悟で旅行行って叩かれるより有意義だったかな。

 

・これから教習所に行こうと思っている方へ贈るQ&A

Q.技能安心パックはつけた方がいい?

A.自分は結果こそ全部の試験一発合格でしたが、最悪の場合数万自腹というプレッシャーを負いながら試験を受けていたので、親御さんが払ってくださるならつけた方が楽だと思います。

Q.運転は難しい?技能試験は落ちる?

A.これは個人の運動神経とかあるので一概には言えないと思いますが、修了検定では不合格者いたので落ちる可能性はそれなりにあると思います。スポーツなら居残り練習して上手くなるとかできますけど、運転は練習できる時間みんな同じなので個人差があるのは仕方ないです。とはいえ練習すれば誰でも上達すると思います。

Q.学科試験は難しい?

A.確かに一部意地の悪い問題こそ出ますが、それら全ミスでもそれ以外がちゃんと答えられれば合格するように出来ています。技能試験と違って練習しようと思えば何時間でも教本を読んで勉強できるわけですから、これで落ちるのは努力不足なだけ。真面目にやろう。

 

ここまで長々と読んでいただきありがとうございました。またよろしくお願いします。