私的ゲーム論:クトゥルフ神話TRPGは”初心者向け”なのか?

最近twitterなどを見ていてもTRPG界隈が活気付いていると感じる、その大きな要因として真っ先に考えられるのは『クトゥルフ神話TRPG』の動画ブームだろう。

事実、私が所属しているゲームサークルの新入生には「動画でクトゥルフ神話TRPGを知ったけれど、KPをできる人がいなくてまだやったことない」とおっしゃる方が多かった。

さて、本題に入るとSNSで散見される

クトゥルフ神話TRPGはルールがシンプルだから初心者向け(のシステム)だ

という説に対して、個人的には本当か?と疑問に思う部分がある。

勘違いされたくないので最初に断っておくと、

私は「例えどんな複雑なシステムだったとしても自分の好きなシステムをやるのが一番いい」と考えています。

 

ここでは単純にルールがシンプル=初心者におすすめできるシステムという論法が正しいのか?ということを考えたい。

 

確かに初心者向けだと言える要素はたくさんある

現実世界に近い世界設定であることはシステム理解と大きくつながっていると思う。「あなたは数百年生きている吸血鬼の騎士で~」「あなたは剣と魔法の世界の冒険者で~」と言われるより

「あなたはちょっと好奇心の強い一般人で、恐ろしい体験をしたり怪物と遭遇したりします」と言われる方が理解が早いだろう。というかライトゲーマーにやさしい。

また、パーセントロールは【成功した or 失敗した】が一目でわかる。「敏捷能力値に出目を足してn以上なら成功」とかより分かりやすいと思う。

数値的なデータ量が少ないこともわかりやすい。SRS系(アルシャード, ダブルクロスなどのこと)はデータ多すぎてわけわからん!と頭がこんがらがってしまう人もいるだろう。

 

賛否両論点

シンプルすぎるルール

TRPGにおいてはルールで決められてない箇所は通常GM(KP)の裁量で決定することになっているが、ルールが軽いということはそのままKPの負担になるということでもある。

慣れたKPの卓に初心者PLが参加するのは良いと思うが、初心者が初めてGMをやることを考えるとなかなか重い部類じゃないか?と思う。

シーン制がないこと、ハンドアウトがないことなど誘導の技術が問われる場面、ファンブル表がないので適用に困る場面。クトゥルフ立ててくれるKPには正直頭が下がる。

わかりにくい戦闘ルール

ルールブックの記述がとっ散らかってるのをどうにかする気はないんですかね。組付きとかよく動画で出てくるわりにいざルール確認するとめちゃくちゃわかりづらいし。

銃の先制ラウンドって何?ガンガン戦闘するシステムではないとはいえ、現実問題戦闘が一切発生しないシナリオって(多分)公式で出してないくせにこの雑さはいかがなものか。

 

結論としてはPLは初心者向けといえると思うがKPは初心者向けとは言えない、と思う。

 

さんざん言ったけど私はクトゥルフ好きだし喜んで参加するよ。でも、ネットでよく見るクトゥルフ初心者KP問題の根ってこういうとこにもあるよなあって思うワケ。

KPってすごく大変だし、やってるのが初心者ならなおさら優しく助けてあげてほしいんだよね。

クトゥルフ勢には不快に思う文章を書いてしまって申しわけないと思うし謝ります。でも、シンプルさに付随したこういったわかりづらさがあり、TRPG初心者を戸惑わせる一因になってるんじゃないの?ってことを言いたかった。