知られたくない本音と見られたい自分/ペルソナ4(アニメ)

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こんにちは。今日は『ペルソナ4(アニメ)』の話題です。今期は特に見たいアニメがなくて、アマゾンで過去作品を漁っていたときに目に留まりました。ゲームオタクの間では言わずと知れたタイトルですが、実は未履修(系列の女神転生もやってません)なのでまずはアニメだけでも観ようと思い立ちました。アトラスのタイトルだと『世界樹の迷宮』を結構やりましたが、メジャーな方には手をつけてなかったんですよね・・・。

まだシーズン1の6話までしか観れてませんがここまでで一旦感想をまとめてみます。

あらすじ

主人公の鳴神悠は両親の海外出張の都合で母方の叔父の家に居候することになり、東京から八十稲羽市(ド田舎)に引っ越してくる。鳴神は転入先の高校で奇妙な噂を耳にする。「午前0時になるとテレビがひとりでに点いて"マヨナカテレビ"と呼ばれる不気味な放送が流れる」というものだった。訝しげに思う鳴神だったが、なんとテレビの中に異世界が存在し、その中に入れることが判明する。

マヨナカテレビに迷い込んだ鳴神と友人の花村、里中は「シャドウ」と呼ばれる怪物に襲われるが、「ペルソナ」という超能力に覚醒し撃退する。辛くも難を逃れた鳴神たちだったが、八十稲羽市で発生している連続殺人事件はこのマヨナカテレビが関係しているのではないかという疑惑が浮かび上がる。鳴神たちはペルソナを用いて一連の怪事件から人々を守ることを決意する。

田舎の黒い本音

序盤から田舎の黒いホンネがドバドバ投げつけられる。都会出身者の鳴神や花村に対する差別感情、旧家に続くしきたり、新興のショッピングセンターと商店街の軋轢などなど。はけ口のない不満が人の心に積もっていることを田舎という地理条件を示すことでわかりやすく表現していると感じた。

天城雪子のエピソード(4話)はその最たる例だった。老舗旅館の一人娘に生まれた雪子は日頃から次期女将として振る舞い、遊びよりも家の手伝いを優先する優等生だ。しかし、心の底では生まれたときから未来を期待され、運命を定められていることにうんざりしていた。マヨナカテレビに迷い込んだ人物の前にはその人物の本心が具現化したシャドウが現れるのだが、彼女のシャドウは自分を檻の中の小鳥に例えて嘆く。王子さまが私をどこか知らない場所へと連れ去ってくれればいいのに、と。

知られたくない本音と見られたい自分

主人公の仲間たちのエピソードではそれぞれのシャドウが登場する。花村陽介のシャドウには周囲に振り回されて不満に思う気持ちと無理に明るく振舞って傷つくことへの反発心が表れていた。里中千枝のシャドウには美人で高潔な人物である雪子が自分だけには頼ってくる優越心で自分を慰め、他人を見下そうとする心が表れていた。

それらの本音に出会ったとき、彼らは口を揃えて「これは自分じゃない」と言う。人に知られたくない上に自分自身ですら否定したい心の汚点だからだ。

誰でも知られたくない本音を抱えている一方で、それを認めることは極めて難しい。つい見ないふりをするか、論点をすりかえて別の行動で解決したことにしてしまうものだ。そして見られたい自分を演じ切ろうとする。しかし、人間の我慢には限界があるから無理をすればどこかで整合性がとれなくなる。

ペルソナ4では自分を認めるという行為によってシャドウを撃退し、ペルソナを手にする。仲間たちもそれぞれが心に闇を抱えて生きていることを認めながらお互いを信頼している。

きっとこうあるべきなんだという力強いメッセージを受け取った気分になった。誰しも立場やキャラを演じてる自分に気が付きながら、いつまでこうすればいいのだろうとうんざりする気分になったことはあると思う。ひどいときはクラスメートや同僚もかりそめの自分を演じていて、俺を騙しているんだと疑心暗鬼に陥ったりする。でも、それはみんな悩んでいることで自分も他者も認めてあげることでしか前に進むことはできないんだろうね。