ゲーム評論：FINAL FANTASY XV その６ (ネタバレ)

ストーリー編５(終)

ノクトは暗い石牢の中で目を覚ます。どれ程長い時間が経ったのか、髪と髭は伸び放題になっていた。空は闇に覆われ、シガイがそこら中を跋扈している。「ハンマーヘッドで待つ」というメモを頼りに仲間との再開を果たす。

思えば旅の最初に来た拠点がハンマーヘッドだった。10年の時を経て再び戻ってきた。仲間たちは見た目こそ老けはしたが何も変わらない。4人は10年前の旅立ちの日から帰れなかった故郷への帰路につく。

シガイ共を退け、王城前にたどり着く。ここで冒頭とリンクし、シガイ化したイフリートと戦う。激戦を制しイフリートを追い詰めると、ゲンティアナ(シヴァ)が現れる。死後も戦わされ苦しむイフリートに優しく口づけをして引導を渡してやるのだった。そして彼女は真の王に光を取り戻すよう最後の啓示を与える。

玉座の間ではアーデンが待っている。その扉の前でノクトは立ち止まる。

「プロンプト、写真見てもいいか？一枚だけ持っていきたいんだ」

「そっか、わかった。選びなよ」

4人は過酷だったけれども楽しかった旅を思い出す。王都育ちの彼らにとってあらゆる景色が新鮮だった。プレイヤー視点でもじんわりくる演出。(今まで保存してきた写真を一枚だけエンディングに持っていける。俺はカエムの港での集合写真を選んだけど、同じの選んだ人も多いんじゃないかな)

玉座にアーデンが座って待ちかまえていた。悪趣味なことにレギス・ルーナ・イドラ・ニックスの遺体が天井から鎖で吊るされている。

「残念なお知らせです。ここ、座りにきたんでしょ。もう空いてないってさ」

「お前に座る資格はない。そこは王の椅子だ」

ノクトが啖呵を切ると、アーデンが放った魔法によって仲間たちは動けなくされてしまう。

「これは俺たち王の戦いだ。無駄なものは要らない。来いよノクティス」

激しい一騎討ちの末にノクトはアーデンを討ち倒す。アーデンの身体は灰のようになって崩れていく。しかし、不死となった者は魂ごと滅ぼさない限り何度でも蘇る。彼を永久に滅ぼすには真の王の使命を果たさなければならない。最期の使命を果たしに行く王の背中を仲間たちは見送るのであった。

歴代王の力をその身に受けて落命したノクトは死者の世界？で再びアーデンと対峙する。ノクトが手をかざすと指輪が眩いほどに輝きだし、歴代王の英霊が現れる。彼らの剣に貫かれたアーデンは魂ごと消滅する。全ての力を使い果たしたノクトも光となって消えていくのだった。

時は決戦前に遡る―。最後のキャンプで4人は焚き火を囲んでいた。例え戦いに勝利しても、ノクトが使命を果たせば死ぬ。もう二度と4人で焚き火を囲む日はない、それを仲間たちも理解していた。ノクトは10年かけて覚悟を固めて来たのに、それでも仲間たちの顔を見たら心が揺らいでしまったと本心を告げるのであった。父が王の責務を一人で抱えて死んでいったときの家臣たちの無念さ、ルーナが辛いときにそばにいてあげられなかった後悔を知ったから、出てきた言葉だった。

今まで仲間をうまく気遣うことが出来なかったノクトが最後にできた恩返しであり、レギスのような「正しい王」であることより1人の人間として仲間に想いを託していきたかった。

仲間たちは元来恥ずかしがりのノクトが言葉に詰まりながらも本心を打ち明けてくれたことに感謝し、聞けてよかったと答えるのであった。

「やっぱつれえわ」は良いシーンだったと思う。元々ノクトは超然とした英雄主人公じゃなくて普通の若者に寄せられて描かれていたしね。その後の結婚式演出はレギスの独白が過剰演出でいらなかったと思った。ルーナの姿がパッケージイラストに重なるのはなるほどね！と思った。

エンディング自体は賛否両論みたいだけど、俺は頑張って締めたなと思う。帝国で設定投げまくったり、マルチメディア展開の弊害で一部シナリオに穴が空いてるし困難な中で分かるように頑張って締めたねって感じ。TRPGのシナリオ作るようになってつくづく思うけど、一度広げた風呂敷を畳むのって見た目よりめちゃくちゃ難しいんだよね。そこは素直に頑張ったと評価したい。

ラスト自体は問題ないけどそれまでに問題がありすぎた。途中でディレクターとライターが変わった影響なのか、予算や時間の問題なのか、描写が圧倒的に足りなかったと思う。ヒロインがどうあがいても死ぬ展開なのは旧タイトル時代からっぽいし、別に無理に救済とかはしなくていいです。ヒロインの兄とかいうめちゃくちゃ美味しいポジションのレイヴスとかいうやつ、居ても居なくても変わらなさすぎだろ。ちゃんと描写しろよ。

あと距離表記は無くして良かったよ。街と街の間は数十～数百キロ離れてると脳内変換しないと設定と矛盾するから。額面通り受け取ると王都から数キロしか離れていないハンマーヘッドにいて襲撃気が付かないわけないやん。

あとオープンワールドおつかいやるならノクト王子じゃなくてよかったよ。中世ファンタジーなら郊外行けば顔知らないってのはわかるけど、この世界テレビあるやん。現にルーナの顔は広く知れ渡ってたじゃん。「偽りの王が陰謀によって王座を奪い取り、正統なルシス王である先祖は遥か遠くの地に追いやられてしまった。末裔ノクティスは偽りの王を倒し、一族の故郷を取り戻すことを誓う」とかならいけそうだと思った。

部分部分を見れば良いところもたくさんあるだけに色々惜しい。細かい部分の粗さがダメだったし、それが良い部分を殺してしまった。結果世間でクソと言われる結果につながったなと思った。俺は別にクソゲーってほどとは思わないけどそういった粗さがあるのも事実。俺は前評判知ってたしシリーズ愛とかも特にないから期待値ゼロでやったけど、果たしてファンの期待に十分応えられる出来だったのかというね。期待値ゼロ・中古価格でやる分には遊び倒せるゲームなので、PS4持て余しててやるものねーっていうなら選択肢に入れてもいいと思うよ。俺は2000円で50時間くらい遊んでトロフィー95%取ったよ。